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屠殺場見学レポート
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※kellyさんのブログ、桃色源より転載させていただきました。ありがとうございます!

本日は卒業研究最終段階の見学

と畜(と殺)見学に行ってきました。

行くギリギリまで迷っていました。

行かせていただいた屠場はとっても小さいところでした。1日平均で10頭未満ということでした。

職員の方も10人ぐらいでした。

着くなり、たくさんの牛と出会いました。

本日ご一緒に同行させていただいた農場からは3頭の牛がと畜へ・・。

そして何とも悲しいことに私が前回農場見学させていただいた際に一番最初に触った警戒心の強いあの黒い大きいウシでした。

3頭とも2年ほど檻に閉じ込められているせいか足元がフラフラしていました。時折滑ったり、つまづいたりしていました。

ドアが開いた瞬間釣り下げられているウシが目に飛び込んできました。吐き気がして、涙があふれ出しました。それと同時に、血なまぐさい、なんとも言えない悪臭と熱気に襲われました。

駄目だ、見れない。

そう思い、引き返しました。

そしてしばらく、農場からの3頭の牛の頭を撫でていました。

どうしてこの子たちは生まれてきたのだろう?

みんな生まれる意味があって生まれるというけど、食べられることが本当に正しい道なのか?

こんなに無邪気なウシを殺していいものだろうか?

こんなに優しい目をしているのに人間とは何て酷い存在なのだろう。

悲しいことに私もその加害者の一員。ベジタリアンであるし、動物は食べないけど以前は食べていましたし。

ウシたちを見ながら本当にたくさんの思いが込み上げてきた。・・・みんな終始大人しい。ただ和牛の2頭オスだけは時折激しく鳴いていました。やっぱりわかるんだろうな・・・。

そして腹をくくって決めました。今の私にできること、それはこの真実をより多くの人に伝えてより多くの人に影響を与えること。

見なければ 体験しなければ伝えられないことがある。息を止めてウシの横にある階段へ登り、上から観察を始めました。

そして順番が回ってくると3頭ずつスロープにあげられて柵にくくられます。前の扉があくと、牛は人間に引っ張られながら前に進みます。案外と大人しいことにびっくりしました。

後ろの扉が閉まると、銃の資格を持つ職員の方が額を打ちます。牛は大きな音をたてて、倒れます。しかし意識ははっきりしており、生きているのは目にみて一目瞭然。

一瞬気を失ったように見えますが、きっとびっくりしただけです。そして声が出る前に喉を切ってしまいます。直視ができない程大量の血と臭いが一気に漂います。

そして喉を開き、食道から棒を差し込みますが、何かわかりません。きっと胃の中のものが逆流しないようにしているのだと思います。腸も同様で、肛門から差し込みます。そしてクレチェーンを足にかけられてクレーンでつり上げられます。牛は終始暴れています。

血抜きの作業はなんとも酷い・・・全て本当に酷いですが。まだ顔もあって 動いていて 血も大量にしたたっていて・・胸辺りを切って前足を広げると更に血がしたたります。職員の方は終始笑顔で会話をされていたことにびっくりしました。

そして次は首を切り落とす作業ですが・・・・首の後ろにナイフを入れた瞬間、どの牛も大暴れしていました。首は一瞬で取られます。そして同時に皮も剥がされます。ここで牛の動きは止まりました。ここまでの作業は大体5分足らずでした。

それから頭は台に乗せて角は切り落とされます。頭は廃棄処分されるそうです。(BSE問題などで)体は次の段階へ・・皮がはがされます。小さなチェーンソーのような丸いカッターで剥がしていきます。この時に前足を切断します。ナイフで。関節を外すと、すぐにはがれるそうです。

そして次の段階、ホルモンなど摘出、食道辺りを深く切り開くと 何やら赤いものがベチョ!っと出てきました。慌てて逃げました。あれは何?怖すぎて聞けない。そこへ大きな荷台を持った女性が・・・大きなホルモンを載せました。そして殻になった体を水で洗い流します。

ホルモンはホルモン洗浄場へ・・・(本日の3頭中2頭の胃は炎症が起きており廃棄となりました)お肉はここで真っ二つにされて 後ろの足も切断されて枝肉へとなります。しかし私はここであることに気づいてしまったのです。足が痙攣していました。筋肉の作用だと思いますが、今目の前にある肉の塊が先ほどまで目をまるまるとさせて ペロペロ舐めてきたかわいいウシだったということを思い出させました。

人間はなんて酷いことをするのでしょう。みんなが喜んで食べているお肉の背景には表し切れないような悲しい事実があります。その裏にはアメリカ政府との約束や、政治的背景が様々あります。

この世界は一体何なんだろう・・・。

1頭1頭にかける言葉が見つかりませんでした。悲しい目でこちらを見て助けを求めているようにも感じました。

「次は絶対に人間に生れてきてね。何もできなくてごめんなさい。」この言葉しかかけることができませんでした。

と場の至る所に見える血痕や肉片、本当に先ほどまで生きていたとは思えません。しかし、ウシたちは確実に数分前までこの私の横にいたし私に顔を寄せてては、びっくりして下がって、寄ってきては匂いを嗅いでいました。

愛される動物と食べられる動物の違いは一体何なのでしょう?この状況を見た限り、ペットと家畜の違いなどとは思えません。

どの動物にも感情があり、生きる権利があると私は思います。

どんどんアメリカナイズドされていく日本産業これは大問題です。より大きな屠場だと1頭1頭への配慮が欠けてより長く、より強い痛みを与えてしまいます。

本当はみんながもっと真実を知って肉食をやめる日が来るといいのですが・・・。

最後に同行させていただいた方と話していると・・・

どうしてこんなことしてるのかな、って時々思うことがある。だけど、だからと言って関わらない、見ないだったらどんどん悪化する。だから俺たちの農場は動物たちの痛みをできるだけ抑えてストレスない生活をしてもらえるように努力をしている。しかし、屠場では心が痛むんです。 たまに涙を大量に流しているウシがいるんです。その時にはやっぱり あぁ、どうして生きているのかなあ。どうしてこの子たちは生まれてきて殺されなくてはいけないのかなあと。」

何だか複雑な思いでした。だって畜産をされている方のお言葉ですから・・・。

今でもあの臭いが漂っているような気がします。

何としてでも、この事実は伝えなくてはならない。

そう感じています。

2010/11/22