全国で毎日のように繰り返される殺処分…無責任な飼い主によるペットの悲劇は後を絶ちません。日々多くの犬猫が捨てられ、処分されているという現状を踏まえて、保健所での殺処分がどのように行われるのかを知ってほしいと思います |
私たちが健康検診や医療相談をする際にお世話になる保健所では日々動物に関する業務も行われています。人間に危害や損害を与える動物から市民を守る事も保健所の役割であり、特に犬は狂犬病というウィルス性の病気の媒介者となるおそれがあるために昔から管理が徹底されてきました。今でも知らない人が多いのですが、法律により全ての飼育者には犬の登録、及び狂犬病の発生を防止するための予防接種が義務付けられています。登録・予防接種をしていない場合や鑑札(登録番号が入った金属製のプレート)を犬に付けない場合は罰則の対象となり、鑑札も付いていない飼い主不明の犬が外に放されているということになれば、通報や見回りにより直ちに捕獲されかねません。 犬猫の収容施設(地域により動物管理(愛護)センター等名称は様々)にはこのような犬や、飼い主が何らかの事情により飼えなくなり施設に引き取られた犬猫が収容されています。その数は年間約30万匹。これでも年々少なくなってはいるのですが、飼い主に返還されたり、新しい里親が見つかるのはごくわずか。その多くは殺処分となっています。保健所に持ち込めば安楽死してもらえる…“安楽死”なら痛みや苦しみ無く死ねる。そう思い安易に持ち込む人も多く、引き取りの理由も「世話が大変になった」「引越しの為」「子供が産まれたから」「勝手に増えてしまった」など、ほとんどが飼い主の都合によるものです。どんなに悪質な飼育者であれ、保健所は法律により引き取り義務が課されているために犬猫を引き取らなければなりません。これは引き取りが無ければ外へ動物を捨ててしまう人が多くなることから取り決められたようです。犬猫に限らず飼養動物は人間の世話無しでは生きていくことが出来ません。一度飼育者になった限り終生世話をする責任があるのですが、これを守れない沢山の無責任な人間が不幸な犬猫を作り出しています。 全国で年間処分された犬猫の数(H20) 8万4264匹 20万2228匹 合計28万6492匹 (地球生物会議の全国動物行政アンケート調査より) ※基本的に猫は捕獲を行っていないので、殆どが持ち込み 飼い主からの持ち込みは即日処分の対象となり、所有者がわからない場合は飼い主が現れる可能性があるので、いったん檻へ収容されます。しかし、期限内に飼い主が現れる見込みは奇跡に近く、ほとんどが処分を免れません。檻は一日目、二日目、三日目…と日ごとに別れてあり、犬達は一日経過ごとに隣の部屋へ移されます。そして、最終日の檻の先にはガス室が待っているのです。 |
あまりにも無責任な飼い主に対し日々憤りを感じているのは、施設で働く職員その人ではないでしょうか。私たち一般人は見ることの出来ない殺処分の光景…勇気ある職員、Aさんが殺処分の一部始終を撮影した動画を公開することにしたのは、犬猫を捨てたらどうなるのかを多くの人に知ってもらいたいと考えたからでした。Aさんは言います。「一旦飼うことを決めたら、最後まで責任を持ってほしい。飽きたから捨てるとか、飼うのが面倒になったとか…。そういう理由で捨てる飼い主は本当に許せないし、生き物を飼う資格を持っていません。あなた達が捨てたら、捨てたペットはこうなるんだよと…知ってほしい。苦しみながら死んでいくんだと知ってほしい。」 Aさんが撮影したというその映像は、私たちの見えない所で日々行われている殺処分の全貌を明るみにするものでした。犬はケージ、または専用の処分機に直接押し込まれ(猫は金網や袋にまとめて入れられ)施設内にあるガス室にて処分されます。今回、殺処分となる犬たちは計四頭。全頭とも首輪をしているので元は飼い犬だったのでしょう。収容施設には動物をガス室へと追い込むための通路があり、自動追い込み機が犬たちを通路に追いつめ、ガス室へと移動していく仕掛けとなっています。ほとんどの施設が全自動化されているものの、一部では職員の手により作業されることもあります。犬たちにとって追い込み作業は恐怖以外の何ものでもありません。収容所の通路には犬たちが抵抗した際に付いた無数の爪痕がハッキリと残されています。 これから一体何が行われるのか、異常な事態に困惑した表情を見せる犬たち。ガス室に入れられるまでは狂った様に鳴いていましたが、出口が完全に塞がれると自らの死を察したのか、鳴き声がぴたっと途絶えました。炭酸ガスが徐々に注入され、じわじわと犬たちの命を奪っていきます。一分ほど経ったでしょうか、数匹がピクピクと痙攣を起こし重なるように倒れました。残りの一頭は数分経過してもなかなか死ねない…体力のある子ほど、長く苦しむと言います。はじめはよたつきながらもウロウロと歩き回っていましたが、やがて歩くことも出来なくなり、苦しそうに顔を上げ口をパクパク開けた後、激しい痙攣を起こし倒れ込みました。約十分間のガス噴射の後、コンベアーが焼却炉に向けて上がり出します。自動的に開く仕掛けの底面から犬たちが落下していく様子は、最後の最後まで機械的なもので、犬たちの死が世間で“安楽死”と認識されていることに疑問を感じずにはいられませんでした(こちらより実際の写真を見ることが出来ます) |
多くの人は未だ保健所での死は安楽死だと信じています。また、炭酸ガスはすぐに意識を失うから苦しくないと言い切る人もいます。しかし、実際はボタン一つの機械的な作業で行われ、犬たちは恐怖と混乱、絶望の中死んでゆくのです。コストの問題と職員の負担を考えこの方法をとるのでしょうが、ガスによる処分は安らかな死とはほど遠いものです。保健所により処分機の大きさやガスの濃度は一定ではなく、新型の装置ならば3〜5分で死に至るところが旧型の装置では10分近く要することもあります。呼吸数が少なく、酸素欠乏にも強い子犬・子猫は、規定の噴射時間を超えても死ねないことがあり、その場合は生きながらに焼かれてしまいます。犬猫にしてみれば、何故自分がこのような状況に置かれているのか全く理解出来ません。檻に入れられた犬は捨てられたにも関わらず、飼い主を信じ待っています。何の罪の無い犬猫が、どうしてこの様な目に遭わなければならないのでしょうか…。
保健所は法に従い、犬猫を引き取るという義務があります。保健所を非難する声もありますが、そもそもの原因は“動物を捨てる人間”一人一人の無責任さにあります。殺処分という現状を早急に改善するためには、飼い主のモラルの向上は勿論のこと、保健所と行政、そして私たち市民が一丸となって、社会全体でこの問題に取り組んでいかねばなりません。 ▲上記のバナーよりセンター内の様子がご覧になれます |
捨て犬・猫実験できません! |
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